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15歳の誕生日、少年は夜行バスに乗り、家を出た。
一方、猫探しの老人・ナカタさんも、なにかに引き寄せられるように西へと向かう。 暴力と喪失の影の谷を抜け、世界と世界が結びあわされるはずの場所を求めて。 「君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年になる」―15歳の誕生日がやってきたとき、僕は家を出て遠くの知らない街に行き、小さな図書館の片隅で暮らすようになった。 家を出るときに父の書斎から持ちだしたのは、現金だけじゃない。 古いライター、折り畳み式のナイフ、ポケット・ライト、濃いスカイブルーのレヴォのサングラス。 小さいころの姉と僕が二人並んでうつった写真…。 読者のイメージ(創造力)を重視し、謎は謎のままあえて具体化してない点が良さかと思います。 佐伯さんは、15歳の佐伯さんなのか50歳の佐伯さんなのか、田村カフカが愛したのはどちらなのか。 またその佐伯さんを女性として愛したのか、失った母を求めたのか。 また、佐伯さんはカフカに対し過去に失った恋人を求めたのか、それとも子供への愛なのか。 過去と現在の時の狭間で動く心に永遠というテーマを感じました。 また、ナカタさんという人間が入り口を開けてまた締めるというトリガーとして登場していますが、不思議な存在感を発揮し、作品全体の雰囲気を穏やかで神秘性のあるものにしているところも魅力かと思います。 ねじまき鳥クロニクルを越えて、村上作品の最高峰だと思います。 切実さは遠のき、円熟と知性とユーモアと、魂の救済があります。 なんだかんだ言ってもやっぱり、結局のところ「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」が一番だよな~と思っていたけど、1Q84後に再読し、改めてその力に圧倒されました。 何を読んでいたのか、と自分であきれました。 これからの人生で何度も読み返し、そしてその都度、それまで気づかなかったその力を実感することになると思います。本当にすごい本だと思います。 少年時代、その時期にしかない一瞬を扱った小説なのかな。 よくある小説のように、現実をわかりやすく、より軽快に、より明快に描くのではなく、 メタファーで満たし、より寓話的に、より暗示的に描くとこうなるのかなー、と感じた。 「世界はメタファーだ」 「この僕らの住んでいる世界には、いつもとなり合わせに別の世界がある」 ほかの作品でもよくあるように、2つの世界から物語は語られる。 別の世界。今回は対比がとてもくっきりしているように感じた。 一つのものが、複数のものと隣り合わせにある。 難しいことはさて置いて、 ナカタさんとホシノさんのやりとりがすごく良かった。 村上春樹はこういう単純なのも書けるんだ。 超ド級の娯楽小説でもある。 【アマゾン】 ↓ ●海辺のカフカ (上) (新潮文庫) 【楽天】 ↓ ●海辺のカフカ(上巻)
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「僕」が帰って来た。
平仮名の「ぼく」になってはいたけれど、それは紛れもなく鼠の友人であり、直子の恋人であり、ビールとジャズとコットンシャツを愛する「僕」だった。 「ぼく」の女友達すみれが17歳年上の女ミュウに恋をする。 しかしミュウは過去の事件が邪魔して求愛に応えられない。 すみれは姿を消し、「ぼく」は彼女を探しにギリシャへ向かう。 村上春樹が支持された要因は主人公のクールでミニマムなライフスタイルにあった。 ところが「ねじまき鳥」から「オウム」にかけ、彼はどんどん熱くなっていった。 置いてけぼりにされた昔ながらのファンは、今回ホッと一息というところか。 とても奇妙な、ミステリアスな、この世のものとは思えない、22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。 広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。 それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩きつぶした。 そして勢いをひとつまみもゆるめることなく大洋を吹きわたり、アンコールワットを無慈悲に崩し、インドの森を気の毒な一群の虎ごと熱で焼きつくし、ペルシャの砂漠の砂嵐となってどこかのエキゾチックな城塞都市をまるごとひとつ砂に埋もれさせてしまった。 みごとに記念碑的な恋だった。 恋に落ちた相手はすみれより17歳年上で、結婚していた。更につけ加えるなら、女性だった。 それがすべてのものごとが始まった場所であり、(ほとんど)すべてのものごとが終わった場所だった。 孤独さが悲しくて仕方が無かった。 この作品は現実の世界を描いていない。 人間の生きている世界から、観念的な部分だけを取り出して物語にしたもの。 そう思わないと、自分の中の片恋がむき出しになって、つらいのだ。 けれど、意図的に目を背けて見ないようにしている感情のひとつを思い出させてくれて、今呼吸することの幅を確かに広げてくれる、優れた作品だと思う。 この小説はかなり評判が悪い。 だが作品としては、ある観点から眺めれば、成功しているといえる。 これはもともと全集に収められた「猫」を主軸としてかかれたもの。 そういった意味では、「蛍」「「ねじまき鳥と火曜日の女たち」のそれぞれを軸にした小説へ発展した『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』と同系列である。 それは村上の言葉を借りれば、「書かれたがっている」小説であり、なぜこれらがそのようになるかをじっくりと考えなければ、真の作品の意味が問われることはない。 商業的に失敗かもしれないが、作品の上では如実に村上の深まりを見せている。 さらに最近では明らかに商業と作品とを区別しているように感じる。 世界広しといえども、「売れる文学」を書ける数少ない小説家だ。 マラソン選手が常に全力で走らないように、この作品は次へのステップへと続く重要な中継地点である。 後半で舞台となるギリシャの小島は、レスボス島をモチーフとしているだろう。 女性の同性愛を意味するレズビアンの原義である「レスボス」(レズビアン=レスボス島の住民)である。 夜の島で音楽が聞こえ始める。 おそらくこのシーンが作品のクライマックスである。主人公とその不安を同調できれば、狂気にも似た神秘が体験できるだろう。 大事なのはもはやストーリーそのものではなく、また、構成でもなく、この作品自体に負荷された「重み」もしくは暗闇に引き込む「引力」であるように思う。 【アマゾン】 ↓ ●スプートニクの恋人 (講談社文庫) 【楽天】 ↓ ●スプートニクの恋人
●おすすめの本、お薦めの本、お奨めの本、お勧めの本 by ジュンヒコ ●[スプートニク] 1957年10月4日、ソヴィエト連邦はカザフ共和国にあるバイコヌール宇宙基地から世界初の人工衛星スプートニク1号を打ち上げた。 直径58センチ、重さ83.6kg、地球を96分12秒で1周した。 翌月3日にはライカ犬を乗せたスプートニク2号の打ち上げにも成功。 宇宙空間に出た最初の生物となるが、衛星は回収されず、宇宙における生物研究の犠牲となった。 |
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読売文学賞を受賞作品
ねじまき鳥が世界のねじを巻くことをやめたとき、平和な郊外住宅地は、底知れぬ闇の奥へと静かに傾斜を始める…。 駅前のクリーニング店から意識の井戸の底まで、ねじのありかを求めて探索の年代記は開始される。 岡田亨は30歳で、勤めていた法律事務所を辞め失業中。飼い猫は家出をしていて、出版社に勤めている妻のクミコは最近帰りが遅い。 そんなところへ、知らない女から奇妙な電話が掛かってきて、それから僕の人生は不思議な方向へと流れ出す。 変えようのない「運命」と自己の「意思」が、場面・人物を違えて何度も錯綜し衝突する、つづれ織りのような小説です。 違う場面で繰り返し出てくるキーワードがいくつもあって、一見関係ないお話たちが交錯して一つにつながっていきます。 私は豊富なメタファーの向こうに、氏が「書く」という行為に至った魂の遍歴のようなものを読み取ったような気がします。 実は私小説的な意味合いが強い作品なのではないかと思っています。 3部作なので読む前は長く感じますが、私はぐいぐいと小説世界に引き込まれていって読み終わるまで出てくることができませんでした。 傑作です。 「流れというのが出てくるのを待つのは辛いもんだ。しかし待てねばならんときには、待たねばならん。その間は死んだつもりでおればいいんだ」。 作中に出てくる本田さんの言葉です。 ネコの失踪という問題に始まり、香水のニオイを残していなくなってしまう妻。 物語がじょじょに流れ出していく第一部です。 個性豊かな登場人物たちや、主人公の悩める心情に共感しているとあっという間に読んでしまえる一冊です。 国境の南、太陽の西 の後の作品であり、スプートニクの恋人の前の作品にあたる。第一部のみ、雑誌で連載されたものであるが、全体の空気を通して作調の変化は感じられなかった。 又、著者はこの作品により読売文学賞を受賞している ねじまき鳥クロニクルは現在発売されているアメリカでの村上春樹ベスト、海辺のカフカを除けば、アメリカ人に”村上春樹”と言われれば浮かぶタイトルである。 ひとつに、この作品の主人公は(大局的に捉えた)アメリカ人としてのアイデンティティを体現したような存在でもありうるから、そのように彼らに印象づけたのではないだろうか。 基本的に主人公は弱さを出すことが無い。 感性が鋭く、筋道を立てて考えることができ、しかし、それがあるにもかかわらず流れに身を任せる事も忘れていない。 極めて実務的な人間である。 この物語は、”僕”がマルタという登場人物に言ったが如く「まるで禅のような話」に、そのような性格の主人公が人の手を、または場所の力を借りて、捉えどころの無い流れに挑んでいく話…という風に私は読んだ 日本文学は人物の深みを掘り下げていく事が少なくないが、この作品は人物ではなく、時代でもなく、人間の存在でもなく、なにようか言い表せない世界を掘り下げていく。 驚くことに、そういった物語でありながら、話の筋は霧散せず、それぞれの複線や、ストーリーの流れは、理屈や構成だけで捉えても合点のいくように編まれている。 それだけでも十分に興味深く、考えさせられる。 時間のあるときに、じっくり読むと自分の世界を深く変えられたような気分になる小説である。 【アマゾン】 ↓ ●ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫) 【楽天】 ↓ ●ねじまき鳥クロニクル(第1部)改版
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村上春樹の4年ぶりの長篇書下ろし小説。
一人っ子として、ある欠落感をもっていた始に、小学校時代、同じ一人っ子の女の子の友達が出来る。 25年後、37才の時、2人は再会し、激しい恋におちる――。 今の僕という存在に何らかの意味を見いだそうとするなら、僕は力の及ぶかぎりその作業を続けていかなくてはならないだろう―たぶん。 「ジャズを流す上品なバー」を経営する、絵に描いたように幸せな僕の前にかつて好きだった女性が現われて―。 発売と同時に読みました。 そのときは,失敗作なのではないかと思いました。 しかし,10年以上経って,読み返してみると,印象は全く異なっていました。 今は,どなたかも書かれていましたが,ノルウェーの森を遙かにしのぐラブストーリーといえると思います。 ただ,単なるラブストーリーにとどまらないところが村上春樹だと思います。 人生の暗く,苦しい面を,はっきりととらえていて,恐ろしいほどです。 再読してから後,何度も読み返しました。そのたびに発見があり,小説としての魅力を感じる一方,その表現の深さに,たじろいでしまいます。 通常の小説を読むときとは,異なる経験です。 また10年後に読むとしたら,さらに深い理解ができるかも知れません。 あくまでも,わたし個人の感想ですが,一度読まれて,あまり感心しなかった方も,そこで結論を出してしまわずに,何年かしてから,再び読まれることを強くお勧めします。 ●国境の南、太陽の西 (講談社文庫) ●国境の南、太陽の西
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谷崎潤一郎賞受賞作品。
高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語、〔世界の終り〕。 老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。 静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。 自分が自分である所以とは何かを考えさせられる、非常に深い物語。 「私」は心に他人には踏み込めない「壁」を抱えた人間。 その「壁」の中には「街」がありもう一人の「私」はその街に暮らしている。 つまり壁の中の街は主人公の自我を象徴している。 人間は「心」があるから悩み、憎み、苦しむけれど、「心」があるからこそ幸せや喜びを感じることができる。 でも一体「心」とはなんなのか? 自分の「心」はどこにあるのか? そんな答えの出ない疑問を投げかけ続ける、哲学的な物語。 村上作品の中でもっとも骨太な作品だと思う。 こういう「とてつもない」独特の物語を書くことが出来るのは、やっぱり村上春樹しかいないのだ。 登場人物が困難な状況に陥っても、誰一人狼狽しない。 これだけの冒険物語を、心静かに読ませることが出来るのは彼しかいない。 何度読んでも圧倒され、引き込まれますね。 「世界の終わり」と「ハードボイルドワンダーランド」との2つのストーリーが最初は何で交互に出てくるのだろうと思い、その内に何か関係ありそうだと思い、最後に繋がるのだけれども、それが本当にどんな繋がりなのかを読後も考えされられてしまう物凄い作品です。 どうしてこんなストーリーを考え付くのか想像を絶するものがあり、ハルキストのみならず、文学好きの人にはたまらない作品だと思います。 本質は真面目ながら、随所にユーモアがあって(机の上にたくさんクリップがある理由が分かったときは笑ってしまいました)、迫力満点で、読んでいて思考回路がフル回転する気分です。 また、絶対映画化出来ないだろうなと思いますし、それぐらい文学のレベルの高さを感じさせてくれます。 それから、太った娘が何でいろんなことを知っているんだろうと不思議な感じでした。 そうでないとストーリーが進まないからですかね。 星5つでも足りないぐらいです。 【アマゾン】 ●世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 上巻 新装版 (新潮文庫 む 5-4) 【楽天】 ●【送料無料】世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上巻)
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