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『笑う警官』(マイ・シューヴァル、ペール・ヴァールー)
旺文社の「高2時代」という本で紹介していた。 スウェーデンのおしどり夫婦が二人で書いている警察物語。 最終的には10巻になり、10年間のスウェーデンの歴史ものにもなっている。 はっきり言って、おもしろい! 登場人物の深みが、日本のチャチな警察小説とは雲泥の差なのだ。
ベトナム反戦デモが荒れた夜、放置された一台のバスに現職刑事八人を含む死体が! 史上初の大量殺人事件に警視庁の殺人課は色めき立つ。 アメリカ推理作家クラブ最優秀長編賞受賞の傑作。
1967年11月13日午後11時過ぎ。 ストックホルムの街外れで、運転手と乗客の射殺体を満載した路線バスが発見される。 被害者の中には一人の若い刑事が含まれていた。 果たしてこの大量殺人の背景には何があったのか? 殺人課の刑事たちが真相を求めて奔走する…。 傑作の呼び声高く、その評判を裏切らない“すこぶるつき”の面白さを堪能できる。 謎が謎を呼ぶという筋立てのワクワク感は途中一度として読者を飽きさせることはない。 また事件を追う刑事たちの一癖も二癖もある個性が決して突飛ではなく、存在感あふれるその人物造詣は見事としか言いようがない。 中心人物であるマルティン・ベックが抱える夫婦の倦怠感と、両親のそうした危機的状況をまだ窺い知るには幼い娘イングリッドとベックとの父娘の会話。 一方ベック夫妻とは対照的に、コルベリ刑事とその14歳も若い妻グンとの初々しくも官能的なやりとり。 直接事件解明に結びつくわけではない夫婦や家族の挿話が、物語に人間くさい奥行きを持たせている。 スウェーデンがまだ第二次世界大戦の記憶を生々しく抱えているという時代背景や、そんな時代にあって今はアメリカがはまりこんだベトナム戦争の泥沼が、遠く北欧の人々にも大きな影響を与えている状況などが描かれている。 それでいてこの40年も前の小説は、今でも決して古びることなく読者を魅了する。 刑事たちと共に、スリルを味わいながら犯人を追った400頁でした。 シリーズの中で1作ごとに確実に歳をとっていく主人公たちの人生模様も楽しめる。
手に取って損することはない。 是非、10巻、全部そろえることで人生が深くなることを僕が請け負うね。 最低でも5年間は楽しめメル。間違っても日本の作家による「笑い警官」を買わないでね。
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景山民夫は大好きな作家、エッセイストだった。 最後は事故死(?)的なガス中毒で亡くなった。 エッセイも小説も大好きだった。 80年代、ビートたけし達とテレビのバラエティー番組でふざけていたイメージが強かった景山民夫。 これがもう、面白いのなんの。 国内の冒険小説では久しぶりに、寝る間も惜しんで一気読みしてしまった。 手に汗握る興奮の世界へ読者を誘う冒険小説の大傑作。 まだまだこれから、という歳でこの世を去ってしまった事が残念で仕方ない。 もし、今でも生きていたら、どれ程面白い作品を書き残していただろうか。 そう思わずにはいられない。
一瞬の爆風と共に張作霖暗殺さる。 唯一の目撃者である少女、麗華を追って関東軍が立上がる。 奉天軍も動き始める。 そして国民党軍も…。 上海まで1600キロ、期限は3日。 日中全軍を敵に回した脱出行、車輪よ駆けろ! 待望の書下ろし長編冒険小説。
そんなときこそ読書の至福の時。
まるでハリウッドの一級のエンターテイメント映画を見ているかのよう。
「読まずに死ねるか!」です。
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美と教養と見栄と意地が溢れる珊瑚礁の五百年王国は悩んでいた。 少女まづるは憧れの王府を救おうと宦官と偽り行政官になって大活躍。 しかし待ち受けていたのは島流しの刑だった――。 見せ場満載、桁外れの面白さ!
珊瑚礁王国の美少女・真鶴は性を偽り、宦官になる―。 前人未踏のノンストップ人生劇場。
ただし、これを読む時には、ライトノベルだ!と思って、エンターテイメントとして割り切って読まないと、肩透かしを食らってしまう。 僕は、「そここそがいいんじゃあないか!」と思うけれども、歴史大河小説を期待すると、その「軽さ」とエンタメ重視の姿勢に、つまらなく感じてしまう人もいるだろう。 けれども、こういう味付けをしないで、だれが、琉球王国の歴史なんて言うマイナーな部分を小説化してくれるだろうか?、 そういう意味では、著者の戦略と功績は大きいと思う。
もちろんある程度戯画化(カリカチャアライズ)されているとしても、なるほど、琉球王国というのはそういう存在で、そういう「美」があったのか!と思わせる、知らしめさせる物語世界の美しさには、感動します。 ライトノベルの萌え小説として「も」読める、というところにこの小説の素晴らしさがあると僕は思います。 この作家の知識の豊富さと、 その史実をベースにした創造力に脱帽。 半端じゃない。 昔の『ベルバラ』っぽくて、とてもいい味を出している。 エンターテイメントとして「時間を忘れて」読むふける、という時間が欲しい方にはぴったりです。
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