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お勧めの小説●『空の中』(有川 浩著) 200X年、謎の航空機事故が相次ぎ、メーカーの担当者と生き残った自衛隊パイロットは調査のために高空へ飛んだ。 高度2万、事故に共通するその空域で彼らが見つけた秘密とは? 一方地上では、子供たちが海辺で不思議な生物を拾う。 大人と子供が見つけた2つの秘密が出会うとき、日本に、人類に降りかかる前代未聞の奇妙な危機とは―すべての本読みが胸躍らせる、未曾有のスペクタクルエンタテインメント。 UMA(未確認生物)とのファーストコンタクトを扱ったSFではありますが、人間の美しさを描いた本でもあります。 弱く愚かな人間が、自らの愚かさも弱さも受容し、自然に対して謙虚に、優しく生きる人間の生き方の美しさに、感動し、涙無しでは読めません。
SFとしても優れものです。 UMAの設定は衝撃的にユニークです。 ユニークですが、設定が緻密なのでとてもリアルな内容です。 明日、この本の内容が現実になっても不思議な気がしません。 このUMAの登場(人類との出会い)、人類との交流・衝突、そして結末を描いたSFとしても一読の価値があります。
本書はライトノベル的な読みやすさを保ちつつ、楽しくて萌えるだけではないイイ話を見事に書ききった、いい本です。 作者は、ライトノベルとして執筆しました。しかし、原稿を見た編集者が「この本は、ハードカバーで出したい!」と情熱をもやし電撃文庫から14年ぶりのハードカバーとして出版されることになりました。 そして、文庫本化される時は、電撃ではなく角川文庫から出版されました。 この経緯が本書の内容を物語っています。 少し淡く切ない物語でもあります。
●『空の中』(アマゾン) ●『空の中』(楽天)
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17歳のおちかは、実家で起きたある事件をきっかけに、ぴたりと他人に心を閉ざしてしまった。 ふさぎ込む日々を、江戸で三島屋という店を構える叔父夫婦のもとに身を寄せ、慣れないながら黙々と働くことでやり過ごしている。 そんなある日、叔父・伊兵衛はおちかを呼ぶと、これから訪ねてくるという客の対応を任せて出かけてしまう。 おそるおそる客と会ったおちかは、次第にその話に引き込まれていく。 いつしか次々に訪れる人々の話は、おちかの心を少しずつ溶かし始めて…哀切にして不可思議。 宮部みゆきの「百物語」、ここに始まる。
江戸の神田三島町の一角に店を構える袋物屋の三島屋。 訳あって、その店の主人である叔父夫婦のもとに預けられ、働くことになった十七歳のちかが、店の「黒白の間」で、そこを訪れる人たちの不思議で怪しい話を聞いてゆく。 不思議で怪しい、切なさと怖さ、恨みと憎しみ、割り切れぬ思いなどが絡まり合ってゆく。 曰く、変調百物語。 その聞き手となった主人公のちかが、語り手となる人たちから百物語の話を聞いていくことで、語り手とそこに関わる人たちの呪いを浄化し、それとともに、自らが負った災厄の根っこを見つめ、逃げずに相対してゆくようになるのですね。 第一話「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」の話から、「お! これは、読ませるじゃないか」と、話の中に引っ張り込まれ、「凶宅」「邪恋」「魔鏡」と読み進めていくうちに、いつしか夢中で読みふけっていました。 とりわけ、「魔鏡」「家鳴り(いえなり)」と続く終盤、物語の第四コーナーの一瀉千里、怒涛の勢いは圧巻。 「魔鏡」に出てくる美しい登場人物は、殊に印象強烈。 怖かったなあ。 上村松園の『焔(ほのお)』という絵に描かれた女性がゆくりなくも思い出されまして、ぞおっとしました。 登場人物の伊兵衛の言う、<何が白で何が黒かということは、実はとても曖昧なのだよ>との言葉が、ことのほか印象深く、忘れられません。 ここはおそらく、著者の敬愛する岡本綺堂『半七捕物帳』の記念すべき第一話「お文(ふみ)の魂」を念頭に置いています。 本書をはじめ、宮部さんの江戸時代ものの小説の雰囲気、 なかでも怪しの雰囲気には、岡本綺堂の『半七捕物帳』『三浦老人昔話』『青蛙堂鬼談(せいあどうきだん)』などの作品に非常に通じるものがあります。 未読の方は、そちらもぜひ、お読みになることをおすすめいたします。
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あと1年。 死ぬ日を待ち続ける。 それだけが私の希望――。 かりそめに生きることは、もうできない。 選んだのは「死」。
一方で、不思議な自殺の連鎖を調べる記者。 そこに至るただひとつの繋がり。 「生」の意味を現代に投げかける、文句なしの最高傑作!
簡単に想像できる定年までの生活は、絶望的な未来そのものだった。 死への憧れを募らせる孤独な女性にかけられた、謎の人物からのささやき。 「本当に死ぬ気なら、1年待ちませんか? 1年頑張ったご褒美を差し上げます」 それは決して悪い取り引きではないように思われた――。
「この先、このまま生きていっても、きっと何も変わらないだろう」と、自分の人生に絶望し、自殺することに決めた女性。 死を決意した彼女の一年間を追っていく話をAとすると、複数の自殺者の死の特異な共通点に気がつき、その真相を調査していく週刊誌記者の話はB。 AとB、今から一年と数ヶ月前に話がはじまる前者と、ある共通点が見受けられる自殺が続いた現在から話がはじまる後者が交錯する形で、ストーリーが進んでいくミステリ。 終盤に向かうに連れてぐんぐん面白くなっていき、目が離せなくなってしまう。
一年後に自殺することを心の拠り所にして生きていく女性の変貌、生き生きとした人間らしさを取り戻していく姿、その変化が魅力的に描き出されている。 そこが、まず素晴らしい。 一年間の暇つぶしのためにとボランティアすることになった養護施設で、子どもたちやスタッフと過ごしていく中、彼女は変わっていく。 終盤、彼女の心境と行動の変化にすっかり魅せられ、胸にこみ上げてくるものがある。
全く念頭になかったので、これにはすっかりダマされてしまった。 背負い投げ一本、てな感じですかね。 著者に投げ飛ばされてから、あわてて前の頁に戻って読み返しまして、「ああ、不覚。ああ、錯覚」と、自分の頭をこつんと叩いた次第。
ミステリー小説とも言えるが、ミステリーの境地を超えた「生」と言うテーマが、根底に流れている。 「死」というテーマを全面に押し出し「生」の意味を考える。 すばらしい構成になっている。 文体も平易で、読みやすく、いっきに読める(と言うか、目が離せなくなる)。
人間、いつ死ぬのかわからないからこそ、今日という日を一生懸命生き らるのかもしれない。 本を閉じて、ふとそう感じた。
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人が消えていく―それは長野、新潟、カリフォルニアで相次ぎ起こった。 誘拐、家出、神隠し、いやそれとも… 調査をはじめたフリーライターの冴子は未曾有の世界的変異を嗅ぎとる。 彼女の父もまた18年前に忽然と消息を断っていた―。 「リング」シリーズ以来10年ぶりに解かれた封印。超野心的ホラー小説最終形。
数学の美しさ、素粒子物理学、宇宙物理学、古代文明の謎、カンブリア紀の大爆発、恐竜の絶滅の謎、生命誕生の理由・・・・・・・僕の好きなファクターばかりを集めた小説で、まるで、僕のために書いてくれたのではないかと思われるほど、ドンぴしゃで来た小説だ。 もし、上記の言葉にビビッと来たら、あなたもこの本のファンになるはず。
そして、この宇宙は数学(情報)で表現できる。 と言うことは、この世界を構成しているのは「光」と「情報」なのではないか、という大胆な仮説のもとに『エッジ』は書かれている。
たとえば、ある日、パイ(数学のパイね。π)が無限ではなく(超越数ではなく)、有限の数で(有理数として)コンピューターが弾きだしたら、その瞬間から、この宇宙の成り立ちそのものが狂ってくる。 昨日までの大前提が崩壊したら、宇宙はどうなるのか? 何故、人々が「消滅」し始めたのか?
これらの謎を解きながら僕らの世界を「本当に大丈夫なのか?」と問いかけてくる物語。 ホラーというよりはミステリィかSFか、あるいは、ひょっとしたら「トンでも本」に近い小説だ。(これらのいずれも、僕の好きなジャンルなんだけれどね。) エンターテイメントとしては最高の小説になっているのが『エッジ』(鈴木 光司)だ。
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ゴールデンウイークはこれで決まりだ!!
雑誌記者の浅川は姪の死に不審を抱き調査を始めた。 ―そしていま、浅川は一本のビデオテープを手にしている。 少年たちは、これを見た一週間後に死亡している。 浅川は、震える手でビデオをデッキに送り込む。 期待と恐怖に顔を歪めながら。画面に光が入る。 静かにビデオが始まった…。 恐怖とともに、未知なる世界へと導くホラー小説の金字塔。
今さらなのだが、「リング」である。 まだ読んでない方は是非、今すぐに読んで欲しい。
この忌まわしいビデオの中には、一体どんなメッセージが…!? 恐怖とともに、未知なる世界へと導くオカルト・ホラー。
「リング」⇒「らせん」⇒「ループ」⇒「バースデイ」
少年少女たちが、なぜ死んだのかという謎解きよりは、1週間という限られた時間の中で、生き延びるための手段を見つけ出さなければならないという緊迫感が読者に言い知れぬ緊張を与える。 これだけでは単なるホラー小説として片付けられたかもしれない。 しかし、本当の恐怖は物語の終盤に差し掛かるにつれて、増大していく。 四人の少年少女たちの謎の突然死に始まるこの作品で鈴木光司が見せてくれたのは、従来のオーソドックスなホラー小説にありがちな単なる戦慄・不安・緊張感・嫌悪といった感情だけではなく、斬新な概念の恐怖と、彼自身の才能の眩い輝きだ。
もし、そうだとしたら鈴木光司は天才だ。
これを読まずに死ねないね。
●らせん/鈴木光司
●ループ/鈴木光司
●バースデイ/鈴木光司
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